ほねつぎ     (その十三)   *性描写があります。その十四へ。




浮竹がひっと悲鳴めいた声をあげた。

「怖いかい、大丈夫。このままいくよ」
「ゆっくり、息を吐いて……力を入れない。こら。力を入れないんだって。力むな」
「なっ! これで力むなと言うほうが無理だ!」

ふっふっと荒い息を吐いて浮竹が歯向かう。

「いいから、少し落ち着いて」
「さっきの色気はどうしちゃったの」
「む。だってな、こんなの体の構造上においておかしいぞ。……その、」
「無粋なことは言わない。聞かない」
「ぎゃっ」
「なんていう声を出すの」

「はあ……いったん落ち着こうか」


はあはあと息を取り乱している浮竹は、 髪ももつれ気味であられもなく足を広げてずるずるとシーツを 体に寄せようとしている。 なのにずっときみだけを思って生きてきて今こうして見ていても切なくなるくらい美しくて愛おしい。

「きみ、僕としたかったんだろう?」
「想像したろう?」
「僕が時折自分勝手にきみにキスした後に。その夜に」
浮竹が顔を赤くして唇を噛む。

「言わなくて良いよ。うれしい」




「いっ、つう。うううう」

浮竹は自分でも色気も何もないなと思うような声で京楽を受け入れた。
だが何よりも勝る感情に支配された。
切なさで胸が締め付けられる。
熱い京楽は自分の中にいる。
体は言いようもなく辛く、中心を貫かれて、 始終自由を奪われているというのに、そうして自分を攻め立てている京楽の、 その瞬間に見せた表情で浮竹は全てを悟った。
京楽を包み込んでいるのは自分なのだという感覚が強烈に胸に迫る。
今ここで、彼の思いの全てを受け入れているのは自分なのだ。

「浮竹。いい顔をしている」
「よせ……」

お互いに近づいて口付けると京楽の舌が襲ってきて自分でも 止められない喘ぎがもれてしまった。それからひとすじ涙が頬を伝う。

「浮竹。泣いている」
「うるさい」
「つらいの?」
「つらい……。しあわせすぎて、つらい」

京楽はそれを聞いて答える代わりに強く浮竹を抱きしめた。

二人を繋げているものが更に深く体に穿たれて、浮竹十四郎の抑えられた柔らかな声が、京楽の耳に届いた。














0715.2011






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