楓蔦黄  (ふうかつきなり) (後)



京楽は悪い悪いといいながら笑い続けた。
浮竹はどうにもぶすくれている。


「痛かった」
「…うん」
「痛かったし、」
「…し?」
「こ、」
「ん?」
「こ、怖かった」
「するのが?」
「それもそうだしお前がというか自分がというか全部が」
それは本当に悪かった、と言いながら京楽は堪えきれずにまた笑った。
「でも」
浮竹が続ける。
「でも?」
京楽は促す。
「…」
「でも何?」

「心が満ちた」

「それは…」
京楽は言葉を切って笑うのをやめ、

「殺し文句だね」

と言った。













11282009
とてもはしょった。
前編冒頭の浮竹が書きたかったがために書いたです。


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